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ドライバーのつぶやき

2008年08月15日

あるお年寄りのお話である。 その方はドライバー歴45年超で、60歳までは飲酒運転や重大な過失もなく、一応安全な運転を心掛けてきた。 定年を迎えてから、何処かに自動車をこすったり、ぶつけたりするようになり、気をつけて運転してくださいな、と家族からも注意されることが度々あった。 しかし、心臓か悪いため生活の足として運転していたことや、注意換気はお互いしていても、重大な事故ではない為に、乗車を控えるようにならなかった。 
75歳を超えてから、その運転はますます良好とは言いがたいものになっていたようだ。 昨年、家族を引きそうになってしまった。 
ある日その方の妻が自宅前でご近所の方と立ち話していたのだが、その傍らに妻の原付バイクを駐車していた。しばし話し込んで、その方が愛車で帰宅して、いつも通りに駐車しようと20m程バックしてきた。 その方は立ち話していた妻たちは感知していたようだが、バイクが全く視界に入っていなかったということで、バイクを押し倒しそのまま停車することなく駐車した。 そのバイクを押し倒した際、妻たちは避けようとしたそうだが、避けきれず妻の下肢に倒れてしまった。 その方は全く気がついていなかったが、と腑に落ちない様子だったそうだ。 ご近所の方たちは、本当にびっくりし、他人でなくて不幸中の幸いだったと言っていたそうだ。 家族がその話を耳にしたのは、久しぶりの帰郷報告の連絡をした際、その妻の足が痛んでしまって困っている旨のことを話し、事情を聞いたために解ったことだった。 その後3ヶ月以上経ってからのことであった。
この話は自分の家族、自分自身が歳をとっていく中で、必ず出てくる酒用のない問題だと感じた。 私の父も古希を祝ってからも運転しているし、母も65歳を超えているが、安全に運転してくれていると思っている。 しかし人間は歳を取るごとに確実に運動機能や身体の衰えが出てくる。 その方は、普段から家で読書とTV鑑賞、庭の盆栽を楽しみにしてゆっくりと過ごしていた。 70歳を超えてから階上の寝室は夜間のトイレの際に目も悪くなったことや足が上がらなくなってきていて躓くので危なっかしくなり階下に替えたくらいだ。 その事は既に家族も知っていたが、運転を諦めさせるまでには至っていなかったようだ。 
以前にTVの特集でみたのだが、高齢者の多い地域では生活の為や、介護の為など自動車の運転は必須な方たちが多いのが現状である。 優しい目で見守る事も大事だとその時は思ったが、その方の実情を知る限り、私見で言わせていただくと、非常に危険である。 私自身も65歳から70歳の頃に、運転適性が良好と言えるのかどうか、分からない。 
警視庁交通局の調査結果では、原付以上運転者の65歳以上の状態別死者数全体比率は、歩行中46.6%、自動車乗車中26.3%、自転車乗用中18.0%で、前年比は歩行中-16.1%、自動車乗車中+6.6%、自転車乗用中が13.2%となっている。 75歳以上は、歩行中51.8%、自動車乗車中23.2%、自転車乗用中16.1%となっている。前年比は歩行中‐14.3%、自転車乗用中‐23.5%、自動車乗車中は+7.1%とこちらも自動車では増加傾向にある。原付以上運転中の65歳以上の法令違反別死亡事故件数は、運転操作不適16.7%構成率、漫然運転15.6%、わき見運転11.2%、一時不停止9.5%、前年比+38.5%となっている。(平成20年6月)
人間は生身で色々な事情、環境などあることだけに、この数字だけでは予測できないと思うのだ。 出来るかぎりは元気に自分の事は自分で行動して欲しいし、そうありたいと願っている。 しかしこの数字を見る限り現実は甘くないのが分かる。 
改正された道路交通法で、猶予期間はあるものの、70歳からは運転免許更新時に更新期間満了日の6月前に受講する事になっている。 その内容は少人数のグループで講義・運転操作検査器での検査・運転実習の適正指導などを行い、視力・瞬時の判断力・運転能力やブレーキを踏み込む脚力の低下など、問題点や評価をし、受講者に安全運転を指導していくものらしい。 もみじマークを付けて乗車する事と、費用が6,150円で更新期間が3年と少々リスクを意識させるものである。 しかし、職業や生活必要となる方たちは指導を受けて更新し続けられる。もちろん身体的にムリを感じたら更新しない高齢者も多いのは確かだ。 私は自分の運転に自身と誇りがあっても、評価や適応状態を知り良好でなかったとしたら、自身で免許を返上したいと思う。 それは自分の生活も大事だが、それ以上に周りに対してのドライバーの責任だと本当に思っているからである。 


 

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