医師転職TOP事務長インタビューアシスタントの一人旅 Vol.1 ランプホール

アシスタントの一人旅 Vol.1 ランプホール

2004年07月01日

 やわらかい灯りに囲まれて忙しさを忘れてください・・

そこには本当の「空」があった。どこまでもどこまでも果てしなく、静かに確かにそこにあるのだ。その空の下で私は、幾度も自分の足元を見た。心の中で迷いが生じたとき、道を間違えはしないだろうかと・・・

広く雄大なこの土地もまた、どこまでも静かにここにあるのだ。

北海道のほぼ中心に位置する美瑛。ファーム冨田のラベンダー畑で有名になった富良野に隣接する花どころである。これからの季節が一番花盛りで、観光客は連日押し寄せ、最も美しいが私にとっては少し苦手な時期でもある。もちろん花は大好きだが、きゃあきゃあと騒ぎ立てながら団体が歩き回るあの様子は、私の神聖なるあの空と大地をまるで犯されているかのような腹立たしさを覚えてしまうのだ。

その美瑛の地に「ケンとメリーの木」という木がある。かなり古い話なのでご存知の方は私と同世代かもしれない。あの某自動車会社の代表的なヒット車の宣伝でテレビにお目見えしていた。あの一直線の道を颯爽と車を走らせながら口ずさんでいただきたいフレーズがあるが、ここでは記さないことにしよう。

ほかにも「セブンスターの木」「親子の木」などたくさんあるが、自分で見つけた木に「自分だけの名前」をつけて思い出にすることもお薦めである。

さて、世間ではさきに書いたようにこれからの季節が騒がれるが、私が好きなのは10月後半から11月頃、夏花咲き乱れた後の干草の季節。ジャガイモ畑もニンジン畑も、つや消しの黄金に変わり、あちこちに干草のロールが転がっている。畑の隅っこには忘れられた規格外の野菜たちが積み上げられ、農家の人の姿もあまりないようだ。

北の大地の日暮れは早い。3時にもなれば十勝岳が薄紫に染まり始める。車を止めて見入っても後続車に追われることはほとんどなく、裾野に続く稜線を息を詰めて見守るのだ。

十勝岳に夕日の赤が反射し、空の青と交わっていく。薄紫がピンクへと移り行く本当の姿は、どんなに腕のよいカメラマンでも留めることはできないだろう。

初めてこの風景に出会った日、私は迷うことを忘れた。誰にでもどこかひとつ、そういう場所があると私は思う。

次はまた、北の国のどこかをご案内してみたいと思っている。


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