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第13回 世界の医療団〜Médecins du Monde〜 医師として避け得なかった創設

両者とも血を流して自由を勝ち取ったフランスが発祥の地である「国境なき医師団」と「世界の医療団」ですが、名称も似ているため混同視されることが少なくありません。果たしてその違いは何でしょうか。現在顕著になっている違いとして、「国境なき医師団」が緊急援助活動に集中し、「世界の医療団」は緊急援助、復旧支援、持続的発展の支援という3期に渡った援助活動を展開している点にあります。
しかしこの違いは同じ土俵にあるものが戦うのではなく共存するために取った住み分けであり、根本的理念や活動指針は同じといって間違いではありません。ではなぜ、別の団体なのでしょうか。

「国境なき医師団」の発起が、国際赤十字の活動を契機にしています。1960年代後半から70年にかけてのアルジェリア内戦の際、戦災から遠く離れたヨーロッパ政府の第三者的立場や各国政府の意向を伺わざるを得ない赤十字を見限り、現場を知る医師らが創設したのが「国境なき医師団」です。イデオロギーから自由な場所にいる彼らは、積極的なメディア活用を通じて人道の優先と国境や戦況に関わらない医療の必要性を訴え、現在に続く共感者を世界に得ます。一方「世界の医療団」の発足は1980年代、ボートに乗って脱出するベトナム難民を救助し得ず手をこまぬいていた各国政府を脇に、ジャーナリストを同乗させたボートで難民支援に向かった「国境なき医師団」創設者の一人であるベルナール・クシュネルの行動を発端とします。人道活動とジャーナリズムという、時に協力し時に敵対する両者を逆手に取った戦略が反発を呼び、結果として「国境なき医師団」を離れたクシュネルにより設立されたのが「世界の医療団」です。目的のために敵を利用する、という強かさが反発を呼んだとも考えられますが、現代の国際協力関係者、紛争調停者にとって当然のセンスを、クシュネルが初めて行使した出来事とも言えます。
現在の「国境なき医師団」の活動の特徴として、積極的かつ先進的な広報活動を無視することはできません。1999年のノーベル平和賞受賞も、草の根から各国首脳にまで影響を及ぼす広報活動を背景にするといっていいでしょう。それほど、現在の人道援助にメディア戦略は欠くことの出来ないツールです。組織を二つに分けた戦略が現在のスタンダードとなり、「持続可能な発展」という至上命題に取り組む国際団体の一パーツとして各々の活躍を続けています。


 

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