プレスリリース | よくある質問と答え | お問合せ | サイトマップ
医師転職サイトドクターズアヴェニューHOME > 転職コンサルタント勝手にお語り集 > 第9回 再生医療の生命倫理
「クローン」という言葉が世間的に知られるようになってから10年少々が過ぎたが、そもそも植物・食物の品種改良など、範囲を広げるときりが無いのだが、人類の歴史として生物に何らかの改良を加えたり、何らかのものに変化をさせると言うクローニング取り組みは古い昔から行われてきたものだ。
ただ、動物においては細胞が完全に分化したものを分離して、更にそれを固体の動物に成長させる、ということは出来ていないのだが、受精卵であればそれが可能になる。
本当かどうかは分からないが、受精卵を用いたクローニングについて世界で始めて成功したのはウニだという。19世紀の話だ。しかし、世間一般として知られるようになったのは、ご存知であろうヒツジのドリーの作製(?)であろう。
ヒツジが成功したのだから、自然、ヒトのクローン作製技術についても考えるのは自然の摂理である。人倫的な観点と科学技術としての観点から、書くまでも無いほどに熾烈な議論がなされてきた。
再生医療においても、国の方針としては決まっているが、近年ES細胞の倫理的議論が続けられている。ヒト胚を一人の人間として見做すのか、単なる細胞の塊として見做すのか。
米国でのとある議論では、論者は旧ナチスのヒトラーになぞらえてES細胞の使用賛成論者に反駁する。
ヒト胚の人格・人権を認めて、生命をたとえ治療目的であっても、善意の下に提供されたものであっても、これを人間以下と見做してはいけないというのである。治療を目的としたクローン(ヒト胚)形成を行い、その幹細胞を取り出すということは「殺人である」と言うものである。
私の一個人の意見として、公共のこの場で述べるのは差し控えるが、しかし確かに言えることは、様々な難疾患を持つ多くの人々がこの世に存在し、臓器移植や骨髄移植においてリスクが高い割にドナーがあまりに少ない、という事実である。
確かに生命の核となる細胞工学技術・再生医療技術が発展することは、患者の立場で考えると、希望の光ともなろう。先天的な糖尿病患者であるとか、パーキンソン病など多くの患者が、治療を望んでいるのだから。
ただ、いつの日も我々が忘れてはいけないことは、人道的観点に基づいた、価値基準を持たなければならないことであろう。再生医療は未だこれからなのだ。